2008年11月22日

【必読】ミヒャエル・エンデが日本に問いかけるもの(2008年版)(園田義明めも)

 ミヒャエル・エンデについてはほぼひと昔前にブームがあり、『モモ』その他で多数のファンを生み出した。また映画『はてしない物語』を多くの人が見たことだろう。NHKのドキュメンタリー番組『エンデの遺言』をきっかけに「地域通貨」の実験が処々方々でなされた。直ぐに消え去ったもの、次第に機能不全になったもの、著名な評論家K提唱通貨の失敗など揚げ足取りの材料に事欠かないが、今でも存続しているようだ。

 園田義明氏はこのエンデに大学生の頃出会った。遺跡発掘調査の現場で「朝日ジャーナル」のミヒャエル・エンデの特集記事を読んだと言う。表記2000年版でもほぼ同趣旨を語っているのだが、2008年版に曰く。

<エンデは資本主義制度がダーウィニズムからくる弱肉強食を経済生活に適用させ、正当化させている点を指摘し、精神性や文化といったものがないがしろにされている状況を嘆いていた。

そして現在の金融システムをバベルの塔と呼び、いつか崩れる瞬間が来ると警鐘を鳴らしている。

そしてなぜか危機的な状況を回避するための新たな精神性が日本で生まれる可能性を示唆した。 (止め)

 新たな精神性の担い手たる日本ー「なぜ日本?」という問いを抱き続けて来たという。

 大事な論点なので表記のハイライト部分を引用/要約させて貰う。
(ハイライト)
1。「時間の戦争」という第3次世界大戦が始まっている(テレビ番組「時間の戦争が始まった〜2001年日本の選択」1990)。
2。その戦争の実体は「資本主義経済における成長の強制であり、悪のすべてのルーツは現在のお金のシステムと実際の経済システムとの不調和にある」。希望と未来を創造できる子供たちをも巻き込んだ「文明砂漠」の『闇』が急速に広がっている。(NHK「アインシュタイン・ロマン」1991)
3。日本へのメッセージ(NHK同番組)
<「私は日本の考え方には一種の危険性があると思います。それは、どの問題においても思考を日本の関心事に限定することです。もし、このように言ってもよろしければ、それは日本の国家的なエゴイズムのようなものです。このエゴイズムは、物事が世界全体にどのような結果をもたらすかを考えず、つねにただ、日本にとってどのような結果になるかだけを考えます。私は、今世紀においては人類レベルで考えることを学ばなければならないと思うのです。そこで、まさに主導的な工業国こそが、その中でもとりわけ日本は、日本に対する責任だけでなく、世界に対する責任を負うことを学ばなければならないと思います。これが、日本の友人への大きな願いです。」
4。灰色の男たち 灰色にならなければ発言できないシステム。
(ハイライト以上)


<灰色の男たち>彼らは、頭のてっぺんからつま先まで、持ち物も含め何もかもが灰色です。そして、人々に印象を残さないどころか、後に何も残しません。ただ、人の心をその人自身よりも深く知っていて、巧みに心のすきまを作らせ、そこに入り込んでいきます。そして、一人一人の持つかけがえのない時間をただの「モノ」にして、それを人から奪い去っていきます。
(出所:http://www.waseda.jp/L1-jbk/hyofan/2001momo/206grauen.html

***

 エンデの指摘について駄弁を積み重ねる必要はないと思うが、経済成長=善、成長し続けねばならないという考えは無反省・無意識な価値判断でないのか。欲望の追求、満足を無限定に肯定し、成長=欲望の肥大化という側面に無自覚になる。ファウストを持ち出す迄もないが、欲望の実現を餌に魂を抜き取るのが悪魔の所行だ。欲望の実現を最高価値に置くのが悪魔崇拝だ(悪魔崇拝教団は実在する)。つまり欲望の有り様に反省を加えないなら、悪魔教のひとつなのだ。

 灰色の男たちは人間の生きる時間を物化する。時間は単に手段となる、目的の為に掛けねばならない要素となる。時々刻々過ぎ行く時間そのものから価値が脱落する。目的は常に未来に設定され、それが今に結実することはない。「今」の価値付けは目的の為の手段性に求められる。このとき時間は「去年(こぞ)今年貫く棒のようなもの」になるのだ。

 別の言い方をすれば、資本の自己増殖運動に凡ての時間が動員されてゆく/いる。欲望をステップアップさせ続け、その実現による停止を未来に向けて無限に繰り延べてゆく。臨終の場面でもそれが当てはまるような人生だ。

 エンデの提示する問題は重大だ。気づかぬままに我々は「灰色の男」になっている。その覚醒の入り口として表記をお薦めする。  
posted by マロニエ at 06:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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